鉄道網作りは粘菌にお任せ 北大など設計理論
2010年1月22日 10時18分
中央部に置いた粘菌がネットワークを広げる様子。スタート時(左上)、8時間後(左下)、16時間後(右上)、26時間後(右下)と、徐々に餌と餌の間を結ぶ管が鮮明になっていく(高木清二北海道大助教提供)
写真単細胞生物なのに迷路を解くなど知的な振る舞いをする粘菌。北海道大などのチームがその“知恵”に学んだネットワークの設計理論を作り出した。トラブルに強く効率的なネットワークができるという。22日付の米科学誌サイエンスに発表した。鉄道や通信などインフラ網の設計に役立つかもしれない。
粘菌は日本でも普通に見られるアメーバ状の生物。餌と餌をつなぐようにして体を伸ばし、栄養分を運ぶネットワークを作る。
チームはこの性質に着目し、粘菌に鉄道網を作らせた。関東地方の形をしたA4サイズの容器に横浜や千葉などJRの主要駅34カ所に対応する餌を配置。東京都心に大きな餌とともに粘菌を置くと、粘菌は独自の鉄道網を描き出した。山地や湖など建設の難しい場所には粘菌が嫌う光を当てて実際の条件に近づけた。
さらに、ネットワーク作りを観察して粘菌の動きを再現する理論モデルを作った。計算してみると(1)経路の総延長(2)一部が切れたとき代替ルートがある(3)輸送効率−のバランスは実際の鉄道網より良かった。
チームは北大の中垣俊之准教授や科学技術振興機構の手老(てろう)篤史専任研究員ら。2008年には粘菌が迷路の最短経路を探す実験でユーモアある研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」を受けた。
コストやリスクなど複数の要素が絡む実際のインフラ網作りにも応用できると期待される。
(中日新聞)